コラム

公開日 2025.12.26 更新日 2026.01.05

訪問看護を介護保険で利用する方法は?医療保険との違いも解説

訪問看護は、病気や障害を抱えながら自宅で生活する方に欠かせないサービスです。しかし、介護保険で訪問看護を利用する方法や、費用面で疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

介護保険で利用する場合、対象者や利用回数、費用負担などが医療保険とは異なります。
本記事では介護保険を利用した訪問看護のサービス内容から、医療保険との違い、具体的な料金体系まで解説します。自分やご家族に合った訪問看護の利用方法を知り、安心した在宅療養の準備をしましょう。

目次

訪問看護とは?在宅医療をサポートする存在

訪問看護は看護師や理学療法士などが利用者の自宅を訪問し、医療ケアやリハビリテーションを提供するサービスです。病院での治療を終えたあとも継続的な医療ケアが必要な方や、慢性疾患を抱える方の在宅支援を行います。

以下では、具体的なサービス内容や対象者について解説します。

訪問看護で受けられるサービス内容

訪問看護では、利用者の健康状態や生活環境に応じたサービスが提供されます。おもなサービス内容は、以下のとおりです。

  • バイタルチェック(血圧・体温・脈拍の測定)
  • 服薬管理
  • 褥瘡(床ずれ)の処置
  • カテーテルや人工肛門の管理
  • 入浴介助や清拭
  • 排泄のサポート
  • リハビリテーション

訪問看護で行われるサービスは、主治医の指示書に基づいて計画的に実施されます。在宅での療養生活を総合的にサポートすることを目的に、利用者に合わせたプランが策定されるのが特徴です。

介護保険で訪問看護を受けられる対象者

介護保険を利用した訪問看護の対象者は、年齢や要介護度によって定められています。以下では、それぞれの年齢層における具体的な条件について説明します。

特定疾病により要介護・要支援を受けている40〜65歳

40歳から64歳までの第2号被保険者が、介護保険で訪問看護を利用する要件の1つは、16種類の特定疾病のいずれかに該当し、要介護・要支援認定を受けていることです。特定疾病には、以下のような疾患や状態が含まれます。

  • がん末期
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • パーキンソン病
  • 脳血管疾患
  • 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

これらの疾病は加齢に伴って発症しやすく、継続的な医療・介護が必要となる疾患として指定されています。たとえば、脳梗塞により後遺症が残った50代の方や、若年性認知症と診断された40代の方などが対象です。

要支援・要介護認定を受けている65歳以上

65歳以上の第1号被保険者は、原因となる疾病を問わず、要支援・要介護認定を受ければ介護保険で訪問看護を利用できます。認定は要支援1・2、要介護1〜5の7段階に分かれており、認定された介護度に応じて利用できるサービスの範囲や回数が決まります。

高齢者の方は、加齢による身体機能の低下や慢性疾患の管理が必要となることが多く、訪問看護のニーズが高い状態です。要介護認定を受ければ、主治医の指示のもと、ケアマネジャーと相談しながら必要な訪問看護サービスを組み込んだケアプランが作成できます。

関連記事:要支援者が対象の訪問看護とは?サービス内容から回数・費用まで解説

介護保険で訪問看護を受けられる回数

介護保険で利用できる訪問看護の回数は、要介護度で定められた支給限度額の範囲内で決まります。訪問看護の1回あたりの利用時間には、以下4つの区分があります。

  • 20分未満
  • 30分未満
  • 30分以上1時間未満
  • 1時間以上1時間30分未満

利用者の状態やケアプランに応じて、週2〜3回程度の利用が一般的です。支給限度額内でほかの介護サービスも利用する場合は、全体のバランスを考慮する必要があります。なお、訪問看護の回数は、デイサービスやヘルパーサービスとの組み合わせを調整しながら設定されます。

在宅医療や訪問介護との違い

訪問看護では、看護師などが医師の指示に基づいて医療ケアなどを実施するのに対し、医師が自宅を訪問して診察や治療を行うのが在宅医療です。

また、訪問介護(ホームヘルプサービス)は、介護福祉士やヘルパーが身体介護や生活援助を中心に行うサービスです。医療行為は実施できないため、インスリン注射や褥瘡処置などが必要な場合、訪問看護の利用が必要になります。

医療保険で訪問看護を利用する場合の違いについて解説

訪問看護は介護保険だけでなく、利用者の年齢や疾病の状態、要介護認定の有無などによって医療保険も適用可能です。ここでは、訪問看護の利用について、医療保険と介護保険との違いを中心に解説します。

介護保険と医療保険の違いを比較

介護保険と医療保険での訪問看護には、対象者、利用回数、自己負担割合などに違いがあります。介護保険は原則として65歳以上の要介護・要支援認定者が対象です。

一方、医療保険には年齢制限がありません。医師によって必要性が認められ、訪問看護指示書が発行されると利用可能になります。

介護保険では支給限度額内で利用回数を決められますが、医療保険では原則週3回まで、1回90分以内という制限があります。自己負担割合は、介護保険が原則1割(所得により2〜3割)であるのに対し、医療保険は年齢や所得に応じて1〜3割で変化するのが特徴です。

介護保険と医療保険のおもな違いは、以下のとおりです。

項目 介護保険 医療保険
対象年齢 65歳以上(40-64歳は特定疾病) 年齢制限なし
利用条件 要介護・要支援認定が必要 医師の指示書があれば利用可能
利用回数 支給限度額内で調整 原則週3回まで
1回の時間 20分〜90分 30分〜90分
自己負担 原則1割(所得により2-3割) 年齢・所得により1-3割

それぞれの違いを理解しておきましょう。

医療保険の対象となる特定疾病や特定の状態

医療保険の訪問看護は、特定の疾病や状態にある場合、回数制限を緩和できる特例があります。厚生労働大臣が定める以下のような疾病などに該当する場合、週4回以上の訪問、および1日に複数回の訪問も認められています。

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症

また、人工呼吸器を使用している状態や気管カニューレを使用している状態なども特例の対象です。これらの疾病や状態は、頻繁な医療ケアや観察が必要であり、主治医の特別訪問看護指示書などに基づき、通常の制限を超えた訪問看護の提供が認められます。

訪問看護は介護保険と医療保険の併用ができない

訪問看護において、介護保険と医療保険の併用はできません。基本的な優先順位として、要介護・要支援認定を受けている方は介護保険が優先され、それ以外の方は医療保険が適用されます。

ただし、以下のような例外的なケースでは、要介護認定を受けていても医療保険の適用となる場合があります。

  • 厚生労働大臣が定める疾病などに該当する場合
  • 急性増悪により特別訪問看護指示書が交付された場合(月14日間まで)
  • 精神科訪問看護の対象者

ケアマネジャーや主治医に相談し、適用される保険制度を正しく理解しておきましょう。

訪問看護を利用するときにかかる料金・自己負担額

訪問看護の料金は、利用する保険の種類や要介護度、訪問時間などによって異なります。介護保険での利用を中心に、具体的な料金体系と自己負担額について解説します。

要介護認定を受けている方の基本料金

要介護1〜5の認定を受けている方が訪問看護を利用する場合、訪問看護ステーションからのサービスと病院・診療所からのサービスで料金体系が異なります。

訪問看護ステーションの場合、以下の料金体系です。

  • 20分未満で314単位
  • 30分未満で471単位
  • 30分以上1時間未満で823単位
  • 1時間以上1時間30分未満で1,128単位

1単位は地域により10〜11.4円で計算され、東京23区では11.4円です。たとえば、30分未満の訪問看護を週2回利用した場合、以下の計算式で求められます。

  • 471単位×11.4円×8回=約42,955円が1ヶ月の総額
  • 1割負担の方は、約4,295円の自己負担

また、理学療法士などによるリハビリテーションの場合は、20分で294単位です。看護師による医療ケアとリハビリテーションを組み合わせることで、効果的な在宅ケアを受けられます。

要支援認定を受けている方の基本料金

要支援1・2の認定を受けている方が利用する「介護予防訪問看護」の料金も、1回ごとの時間区分に応じて単位数が設定されています。おもな基本単位は以下のとおりです。

  • 20分未満:303単位
  • 30分未満:451単位
  • 30分以上1時間未満:794単位
  • 1時間以上1時間30分未満:1,090単位

介護予防を目的とするサービスのため、状態の維持・改善や自立支援につながる内容が中心です。利用回数や訪問時間は健康状態や生活状況などを考慮し、ケアマネージャーと相談しながら決定します。

介護保険を利用して訪問看護を受ける場合の料金シミュレーション

実際の利用例として、要介護3の方が訪問看護を利用する場合の料金をシミュレーションしてみましょう。

各30分の訪問看護(471単位)を週3回と、各40分の理学療法士によるリハビリ(588単位)を週1回受ける場合の利用にかかる金額をシミュレーションしてみましょう。月間の単位数は、以下のとおりです。

  • 訪問看護:471単位×12回=5,652単位
  • リハビリ:588単位×4回=2,352単位
  • 合計:8,004単位

東京23区(1単位11.4円)の場合、8,004単位×11.4円=約91,245円が総額であり、1割負担なら月額9,124円の自己負担が必要です。

要介護3の支給限度額は270,480円のため、今回のシミュレーション結果を想定した場合、ほかのサービスと組み合わせても十分に利用可能といえます。

なお、上記は一例です。実際の自己負担額は、条件により異なります。

医療保険で訪問看護を利用する場合の費用

医療保険での訪問看護料金は、訪問看護基本療養費と訪問看護管理療養費で構成されています。

訪問看護基本療養費は、週3日目まで1日5,550円、週4日目以降は1日6,550円です。これに訪問看護管理療養費として月の初回は7,670円、2回目以降は2,500円、あるいは3,000円が加算されます。

たとえば、週2回の訪問看護を1ヶ月利用した場合の費用の例は、以下のとおりです。

  • 訪問看護基本療養費5,550円×8回=44,400円
  • 訪問看護管理療養費7,670円+3,000円×7回=28,670円
  • 合計73,070円

3割負担の方は21,921円、1割負担の方は7,307円の自己負担です。また、医療保険では以下の加算も含まれます。

  • 夜間・早朝加算:1日につき2,100円
  • 深夜加算:1日につき4,200円
  • 緊急時訪問看護加算:月14日目まで1日につき2,650円、月15日目以降1日につき2,000円
  • 24時間対応体制加算:月6,520〜6,800円
  • ターミナルケア療養費:10,000〜25,000円

緊急時や夜間・休日の加算サービスを組み合わせることで、24時間365日対応可能な、きめ細やかな在宅療養体制を構築できます。

交通費など追加で費用がかかる場合がある

訪問看護の基本料金以外に、実費負担の費用もあります。

費用項目 内容 料金目安
交通費 訪問看護ステーションから利用者宅までの距離に応じて請求される場合あり 無料〜数百円程度
(事業所による)
衛生材料費 特別な医療材料や使い捨て手袋、ガーゼ、消毒薬などの保険適用外の衛生材料費 月額500〜2,000円程度
死亡時対応・エンゼルケア 死後の処置を依頼した場合に発生 別途料金
(事業所による)

追加費用については、サービス利用開始前に訪問看護ステーションに確認しておきましょう。料金体系を把握しておけば、安心してサービスを利用できます。

なお、上記で紹介している費用は、条件により異なる場合があります。

介護保険で訪問看護を利用する方法

介護保険での訪問看護利用には、手続きが必要です。ここでは、実際の利用開始までの流れと必要な手続きについて、順を追って解説します。

利用開始までの流れ

訪問看護を介護保険で利用するまでの流れは、以下の6つのステップに分かれています。

  1. 要介護認定の申請(市区町村窓口)
  2. 認定調査と主治医意見書の作成
  3. 介護認定審査会での審査・判定
  4. 要介護度の認定通知(申請から約30日)
  5. ケアマネジャーの選定とケアプラン作成
  6. 訪問看護ステーションとの契約

各手順には約1〜2週間程度の時間がかかるため、利用開始まで1〜2ヶ月程度を見込んでおく必要があります。

介護保険で訪問看護を利用するために必要な手続き

介護保険での訪問看護利用に必要なおもな書類は、以下のとおりです。

書類名 内容 入手方法・備考
要介護認定申請書
  • 介護保険の利用に必要な申請書
  • 市区町村の窓口で入手できる
  • 本人・家族・地域包括支援センターの職員などが代理申請もできる
介護保険被保険者証
  • 介護保険の加入を証明する書類
  • 市区町村で交付される
主治医の訪問看護指示書
  • 訪問看護利用に必須の書類
  • 病名・症状・必要な医療ケアなどを記載
  • 診察後に主治医が発行する
  • 有効期限は最長6ヶ月である
  • 事前に相談が必要である
ケアプラン
  • 訪問看護や介護サービスの具体的な計画書
  • ケアマネジャーが作成する

契約時は重要事項説明書の内容を確認し、サービス内容や料金、緊急時の対応などについて十分な説明を受けましょう。個人情報の取り扱いや相談窓口も確認し、不明な点があれば遠慮なく質問することが大切です。

訪問看護ステーションの選び方

満足のいく訪問看護サービスを受けるには、適切な事業所選びが欠かせません。訪問看護ステーションを選ぶときは、以下の点を確認しましょう。

  • 夜間・休日の緊急対応の可否
  • 看護師やリハビリスタッフの人数・経験・専門性
  • 主治医やケアマネジャーとの連携状況
  • 利用可能なエリアや対応時間
  • 緊急時訪問看護加算などの有無
  • 実際の利用者の声や事業所の雰囲気

信頼できる訪問看護ステーションを見つけられると、充実した在宅療養生活を送れます。

介護保険で受ける訪問看護に関するよくある質問

訪問看護の利用を考える際、多くの方が同じような疑問を持たれます。ここでは、介護保険での訪問看護利用に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

訪問看護は医療保険と介護保険どちらが安い?

訪問看護の自己負担額は利用者の年齢や所得、利用頻度によって変わるため、一概にどちらが安いとはいえません。週1〜2回程度の利用であれば、介護保険を利用すると自己負担が少なくなりやすいです。

介護保険は原則1割負担(所得により2〜3割)で、支給限度額内であれば定額で利用できます。一方、医療保険は年齢により1〜3割負担、70歳未満の現役世代はほとんどの場合で3割負担です。

頻繁な訪問が必要な方は、医療保険のほうが有利になることもあります。ケアマネジャーや訪問看護ステーションと相談しながら、個別の状況に応じて選ぶことが大切です。

介護保険を利用した訪問看護は週に何回まで使える?

介護保険での訪問看護に、週あたりの回数制限は設けられていません。要介護度ごとに定められた支給限度額の範囲内であれば、必要に応じて毎日でも利用できます。

しかし、多くの方はデイサービスや訪問介護など、ほかのサービスも併用するため、実際の訪問看護は週2〜3回程度です。利用回数はケアマネジャーと相談しながら、本人の状態と生活全体のバランスを見て決定します。

医療保険と介護保険の訪問看護を同日に利用できる?

原則として、医療保険と介護保険の訪問看護を同じ日に利用することはできません。

例外のケースとして、退院日当日に限り、医療保険での訪問看護(退院時共同指導加算)と介護保険での訪問看護を同日に実施できます。また、月の途中で保険が切り替わる場合、切り替え日の前後は異なる保険が利用できる場合もあります。

まとめ|介護保険を使って訪問看護を上手に利用しよう

訪問看護は、在宅で療養生活を送る方にとって心強いサービスです。介護保険での利用は、支給限度額内でサービスを組み合わせて活用できます。

訪問看護ステーション「GREEN APPLE」では、介護予防を目的としたケアから緩和ケアまで、介護保険や医療保険を活用した訪問看護に幅広く対応しています。訪問看護を上手に活用して、住み慣れた自宅で安心した生活を続けたい方は、お気軽にご相談ください。

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