コラム

公開日 2026.01.26 更新日 2026.01.26

【訪問看護】入浴介助のコツと注意点を徹底解説!

自宅での入浴は、清潔を保つだけでなく、気分転換や血行促進にもつながります。
しかし高齢者や持病のある方では、浴室の温度差による体調変化や、床の滑りによる転倒など、思わぬ事故が起こりやすい場面です。
訪問看護の入浴介助では、入浴前後の体調確認、環境調整、治療器具の保護を行いながら、安全に進めることが大切になります。

本記事では基本から当日の流れ、注意点、補助用具の選び方、家族が押さえたい確認事項までをわかりやすく解説します。

目次

訪問看護での入浴介助の基本とは

訪問看護で行う入浴介助は、利用者の体調や生活環境を踏まえ、安全を最優先に実施される重要なケアです。
入浴には清潔保持だけでなく、心身のリラックスや血行促進といった効果も期待できますが、体への負担が生じやすい場面でもあります。
そのため看護師は、事前に健康状態を確認し、無理のない方法や環境を整えたうえで介助を行います。

ここでは、計画やサービスの違いなど、基本となるポイントを確認していきます。

訪問看護の入浴介助計画の確認ポイント

訪問看護における入浴介助計画では、まず利用者の健康状態を正確に把握することが欠かせません。
心臓や呼吸に持病がある場合、入浴による血圧変動や息切れが起こる可能性があるため、医師の指示内容や既往歴を踏まえた判断が必要です。

あわせて、浴室や脱衣所の広さ、床の滑りやすさといった住環境も確認します。
安全面だけでなく、入浴時間や湯温を体調に合わせて調整し、無理なく入浴できる計画を立てることが重要です。
さらに、羞恥心や不安に配慮し、落ち着いて過ごせる雰囲気づくりも計画に含めることで、安心感のある入浴介助につながります。

訪問入浴介護との具体的な違い

訪問看護の入浴介助と訪問入浴介護は、目的や対応範囲に明確な違いがあります。
訪問看護の入浴介助は、看護師が体調を観察しながら行う点が特徴で、医療的な視点から安全性を重視した支援が中心です。

一方、訪問入浴介護は、専用の浴槽を自宅に設置し、介護職員が入浴そのものを提供するサービスです。
医療的管理が必要な方や体調変化が心配な方には訪問看護が向いており、浴槽の準備が難しい場合には訪問入浴介護が選ばれやすい傾向があります。

それぞれの役割を理解し、利用者の状態や生活環境に合ったサービスを選ぶことが大切です。

入浴介助が必要な利用者の特徴

入浴介助が必要かどうかを判断するには、利用者の身体状況や生活環境を丁寧に把握することが欠かせません。
訪問看護では、利用者一人ひとりの特性に応じて、安全性と快適さを両立させた入浴支援を行うことが重要です。

以下では、入浴介助が必要になりやすい利用者の特徴について整理していきます。

循環器や呼吸器に疾患がある方

循環器や呼吸器に疾患がある方は、入浴による体への負担が大きくなりやすいため、慎重な対応が求められます。
湯温や室温の変化によって血圧や脈拍が変動し、動悸や息切れを起こす可能性もあります。
そのため、入浴前には体温や血圧などを確認し、当日の体調を踏まえて実施可否を判断することが大切です。

入浴中は無理に長湯をせず、呼吸状態や表情を観察しながら進めます。
呼吸器疾患がある場合は、浴室の換気を十分に行い、息苦しさが出ない環境を整えることで安心して入浴しやすくなります。

ストーマやカテーテル使用中の方

ストーマやカテーテルを使用している方の入浴介助では、感染予防と器具の保護が重要なポイントになります。
これらの医療器具は皮膚に直接接しているため、水分や汚れが付着するとトラブルにつながりやすい状態です。

入浴前には、周囲の皮膚状態を確認し、防水カバーや保護材を用いて適切に処置します。
入浴中は、器具が引っ張られたり圧迫されたりしないよう、体の動きをサポートすることが必要です。
入浴後は水分をしっかり拭き取り、皮膚の赤みや異常がないかを確認することで、安全な入浴介助につながります。

立位や歩行が不安定な方

立位や歩行が不安定な方は、浴室内での転倒リスクが高く、入浴介助が必要になる代表的なケースです。
濡れた床や段差は足元を滑らせやすく、わずかな動作でも事故につながるおそれがあります。

そのため、入浴前に体調や筋力の状態を確認し、当日の介助方法を調整することが大切です。
入浴中は、滑り止めマットやシャワーチェアを活用し、立ち上がりや移動の際には必ず見守りや支えを行います。
無理をさせず、安心して動ける環境を整えることが、安全な入浴介助の基本です。

認知機能に課題がある方

認知機能に課題がある方への入浴介助では、身体面だけでなく精神面への配慮も欠かせません。
入浴の流れが理解しにくかったり、環境の変化に不安を感じたりすることで、混乱や拒否につながる場合があります。

そのため、事前にやさしく声をかけ、これから行う動作を簡単な言葉で伝えることが重要です。
入浴中は指示を一度に出さず、動作を一つずつ確認しながら進めることで落ち着きやすくなります。
安心感を大切にした対応を心がけることで、利用者が穏やかに入浴できる環境を整えられます。

訪問看護の入浴介助の具体的な流れ

訪問看護での入浴介助は、限られた時間と自宅の環境のなかで、安全と快適さを両立させることが求められます。
入浴は清潔保持だけでなく、気分転換や睡眠の質の向上につながることもありますが、体調によっては負担が大きい場面です。

そのため、事前の体調確認から始め、脱衣、洗身・洗髪、入浴中の見守り、ふき取りと着衣、入浴後の観察までを一連の流れとして把握しておくことが大切です。

続いて、各ステップのポイントを順に見ていきましょう。

1.入浴前の準備と確認

入浴前は、まず利用者の体調が入浴に適しているかを判断します。
血圧や脈拍、体温などを確認し、普段と比べて無理がない状態かを見極めることが重要です。
あわせて、タオルや洗浄剤、着替え、必要な保護材などを手の届く位置に用意し、途中で動き回らなくてよい環境を整えます。

浴室と脱衣所の寒暖差が大きいと負担になりやすいため、室温や湯温の目安も確認しておきます。
治療器具や補助用具を使用している場合は、濡れや引っ張りが起きないよう事前に固定状態を見直すことで、入浴中のトラブルを減らせます。

2.脱衣のサポート

脱衣は転倒や疲労が起こりやすい場面のため、安定した姿勢を保てるように支援します。
基本は座位で行い、袖やズボンを片側ずつゆっくり外すなど、体に負担がかからない手順を意識します。
無理に引っ張ると皮膚を傷つけたり痛みにつながったりするため、動かしやすい方向を確認しながら進めることが大切です。

また、羞恥心に配慮し、タオルで覆う、声かけのタイミングを合わせるなど、プライバシーを守る工夫も欠かせません。
脱衣所が冷えると体調変化の原因になるため、必要に応じて室温を調整し、短時間で安全に進めます。

3.体洗いと髪洗いの手順

洗身は、皮膚への刺激を抑えながら汚れを落とすことが基本です。
石鹸はよく泡立て、手や柔らかいスポンジでやさしく洗い、強いこすり洗いは避けます。
皮膚が薄い高齢者や乾燥しやすい方は、赤みやかゆみが出ないよう、洗う範囲や力加減を調整します。

洗髪では、頭部を支えつつ、顔に水がかからないように姿勢を整えることが重要です。
すすぎ残しは刺激の原因になるため、泡が残らないように流し、疲れが見られる場合は部分洗いに切り替えるなど、体調に合わせて柔軟に対応します。

4.安全な入浴の方法

安全に入浴するためには、入浴前後の温度差を小さくし、体への負担を減らすことが大切です。
浴室や脱衣所をあらかじめ暖め、湯温も高すぎない範囲で調整することで、急な血圧変動を起こしにくくなります。

入浴中は、立ち上がりやまたぎ動作で転倒しやすいため、常に見守り、必要に応じて手すりやシャワーチェアなどを活用します。
湯につかる場合は短時間を基本とし、顔色や呼吸、会話の反応を確認しながら無理のない範囲で進めます。
違和感があればすぐに中止できるよう、声かけと安全確保の手順を共有しておくことも重要です。

5.ふき取りと着衣のポイント

入浴後は体が冷えやすいため、すみやかに水分を拭き取り、体温低下を防ぐことが大切です。
タオルは強くこすらず、押さえるように拭き、皮膚のしわや関節部、足の指の間など水分が残りやすい部位を丁寧に乾かします。

湿った状態が続くと皮膚トラブルにつながるため、赤みやただれがないかもあわせて確認します。
着衣は、動きを妨げにくい衣類を選び、袖やズボンを通す際は無理な関節可動を避けながら介助します。
必要に応じて衣類を事前に温めておくと、寒さによる負担を減らし、落ち着いて身支度しやすくなります。

6.入浴後の適切なケア

入浴後は、体温や血圧が変化しやすいため、落ち着いた環境で体調を確認します。
入浴直後にふらつきが出ることもあるため、椅子に座って休憩を取り、水分補給が可能であれば無理のない範囲で促します。

皮膚が乾燥しやすい方は、保湿剤を塗布することでかゆみやひび割れを予防しやすくなります。
また、治療器具を使用している場合は、固定状態や皮膚の異常がないかを再確認し、濡れや汚れが残らないよう整えます。

最後に、入浴前後の変化を記録・共有し、次回以降の介助方法に反映させることで、より安全で負担の少ない入浴支援につながります。

入浴介助時に注意すべきポイント

入浴介助では、利用者の安全と安心を最優先に考えることが欠かせません。
訪問看護では、体調や生活環境が一人ひとり異なるため、画一的な対応では事故のリスクが高まります。

とくに入浴中は、治療器具の汚染、急激な温度変化、転倒といったトラブルが起こりやすい場面です。
そのため、事前の準備と入浴中の細かな確認を徹底することで、不要な負担や事故を防ぎやすくなります。

以下では、入浴介助時に意識したい具体的な注意点を整理していきましょう。

治療器具の汚染を防ぐ方法

治療器具の汚染を防ぐことは、感染症予防の観点から重要なポイントです。
入浴前には、カテーテルやストーマなどの固定状態や周囲の皮膚を確認し、必要に応じて防水対策を行います。

使用する器具や保護材は、清潔な状態を保ち、消毒が必要なものはあらかじめ準備しておくことが大切です。
また、器具の取り扱い前後には手指消毒を徹底し、濡れたまま放置しないよう注意します。

入浴後は、水分や汚れが残っていないかを確認し、乾燥と清潔保持を行うことでトラブルを防ぎやすくなります。

ヒートショックを避ける温度管理

ヒートショックは、急な温度変化によって血圧が大きく変動し、体に負担がかかる状態です。
とくに高齢者や循環器疾患のある方では、重い症状につながる可能性があるため注意が必要です。
入浴前には、脱衣所や浴室をあらかじめ暖め、室温差をできるだけ小さくします。

湯温は高くしすぎず、短時間の入浴を基本とすることで、体への負担を抑えやすくなります。
入浴中も表情や会話の反応を確認し、少しでも異変があれば中止できる体制を整えておくことが大切です。

転倒予防のための見守りとサポート

浴室は床が濡れやすく、転倒リスクが高い場所のため、見守りと適切な支援が欠かせません。
入浴中は利用者から目を離さず、立ち上がりや移動の場面ではすぐに手を差し伸べられる位置で対応します。

滑り止めマットやシャワーチェアを活用することで、姿勢の安定を保ちやすくなります。
また、その日の体調や疲労の有無を事前に確認し、無理をしない入浴方法を選ぶことも重要です。
環境整備と見守りを組み合わせることで、安心して入浴できる状況をつくりやすくなります。

訪問看護で役立つ入浴補助用具

訪問看護の入浴介助では、補助用具を適切に使うことで、安全性と快適さを大きく高められます。
補助用具は利用者の身体的負担を減らすだけでなく、介助者が無理のない姿勢で支援するためにも重要です。

とくに自宅の浴室は滑りやすく、転倒の危険が高いため、環境に合った用具選びが欠かせません。
身体状況や浴室の広さに合わせて用具を選ぶことで、入浴への不安を軽減しやすくなります。

ここでは、訪問看護で活用される代表的な入浴補助用具の特徴を順に確認していきましょう。

滑り止めマットの活用法

滑り止めマットは、浴室内での転倒予防に役立つ基本的な補助用具です。
床や浴槽の底は濡れると非常に滑りやすく、とくに足腰が弱い方には大きな危険となります。
選ぶ際は、裏面に吸盤が付いており、床にしっかり固定できるものを選ぶことが重要です。

抗菌加工が施された素材であれば、カビや汚れが付きにくく、清潔な状態を保ちやすくなります。
設置前に床面の水分を拭き取り、ずれがないかを確認することで、安心して入浴介助を行いやすくなります。

シャワーチェアの選び方

シャワーチェアは、立位が不安定な方でも座ったまま体を洗えるようにする補助用具です。
利用者の体格に合った座面の高さや幅を選ばないと、姿勢が不安定になりやすくなります。
脚部に滑り止めが付いているか、床にしっかり接地する構造かを確認することが大切です。

高さ調節が可能なタイプは、浴室環境や身体状況に合わせやすく、使い勝手が向上します。
背もたれや肘掛けがあると、座位の安定性が高まり、安心感を持って入浴しやすくなります。

バスボードの使い方

バスボードは、浴槽の縁に渡して設置し、出入りを補助するための用具です。
浴槽をまたぐ動作が難しい方でも、腰掛けながら安全に移動しやすくなります。
使用する際は、浴槽の幅に合ったサイズを選び、しっかり固定されているかを確認します。

座る位置は中央を意識し、片側に体重が偏らないよう注意することが大切です。
手すりと併用し、ゆっくりと動作を行うことで、転倒のリスクを抑えやすくなります。

浴槽台の設置と使用法

浴槽台は、浴槽の中に設置して座位を保つための補助用具です。
高さを利用者の身長や可動域に合わせて調整することで、立ち座りの負担を軽減できます。
設置後は、ぐらつきがないかを必ず確認し、滑り止めが十分に機能しているかをチェックします。

座った状態で体を洗えるため、長時間の立位が難しい方でも入浴しやすくなります。
利用者と介助者の双方にとって負担を減らせる点が、浴槽台の大きな利点です。

まとめ:訪問看護の入浴介助のポイント

訪問看護の入浴介助では、利用者の体調や生活環境に合わせた安全な対応が欠かせません。
入浴前の体調確認から、脱衣、洗身・洗髪、入浴中の見守り、ふき取りと着衣、入浴後の観察までを一連の流れとして考えることが重要です。

訪問看護で入浴介助ができるかは、目的(医療的管理の有無)や指示書、介護サービスとの役割分担で変わります。
GREENAPPLE訪問看護ステーションでは必要な支援の切り分けから利用の進め方まで丁寧にご案内します。
まずはお気軽にご相談ください。

監修者

和田 美樹

和田 美樹

GREEN APPLE訪問看護ステーション/管理者

<資格>

看護師、メディカルアロマセラピスト

<略歴>

10年急性期病棟で勤務したのち訪問看護で経験を積み2024年に開業。 『心身共に健康』『個別性を考えたケア』をポリシーに、通常の訪問看護に加え、 メディカルアロマセラピストによるアロマを使用したケアの提供を行っている。

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